恋の心理学/恋の診断/恋の真理

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パーソナルゾーンと男女の関係

動物は自分自身のなわばりを持ち、そこに敵が侵入してくると激しい攻撃をしかけます。人間もこれと同じように、自分の縄張りを所有しています。ひとはこの縄張り空間に関して、さまざまな反応を示します。

たとえば、公園のベンチに座るひとは、たいていほかのひとから少し離れたところに腰かけるものです。それは自分のまわりのスペースを侵されたくないからです。身体のまわりにはそのひと個人の属する空間があります。

なわばりゾーンについての研究は、プロクセミックスと呼ばれています。このプロクセミックスの考え方によれば、わたしたちがふつう意識しているなわばりソーンには、密接距離、個体距離、社会距離、公衆距離の四つがあります。

特別な関係を意味する密接距離

密接距離(インティメットゾーン)は、個体距離より狭く、ほとんどからだが触れ合うくらいの近い距離です。男女の間では、夫婦や愛し合う恋人同士にのみ許された距離です。そのほかには小さな子供が親にびったりくっつくような場合の距離です。密接距離にはこのようにきわめて親密な関係にだけ許されたもののほか、ラッシュ時の電車やエレペー夕に乗り合わせたときに人々が保っている距離のようなものもあります。電車やエレベータのなかでは、密接距離にありながら、わたしたちはできるだけ他人とからだが接しないようにしたり、目が合わないように視線をそらしたりするものです。知らないひとのからだに触れたり、じっと見つめることは、相手の縄張りゾーンを侵すことになり、不快な気持ちを抱かせることになります。

不用意に親密距離まで近づくと誤解される

もし、愛情関係のない男女がこのような距離をとると、ふたりのあいだには当惑が生まれることになるでしょう。例えば男性上司が女性社員に親しさを表すつもりで、肩に手を回したり、体に触れるようなことすると、男性はただ親密感を表わすためだったといっても、女性はセクハラと受け止めるでしょう。そういうことに鈍い男性はけっこういます。とりわけ、中年男性にこのことが分かっていない人が多いようです。

逆に女性が恋人でもなんでもない男性に近づき、密接距離をとったばあい、女性の方からのセクシャルな誘惑と見なされるでしょう。

個体距離は親しい人との間柄の距離

個体距離(パーソナルゾーン)は、二人の人の間で時には相手に手が触れたりしてもかまわない距離で、友人や知人との関係はこのような距離にあります。密接距離はこのパーソナルゾーンにより近づくことになりますから、特別の相手でなければゆるされないわけです。

恋愛心理学に基づいたテクニックを聞きかじり、
密接距離を利用して女性を誘惑しようとする男性もいる

これを逆手にとって、男性が女性を誘惑してその気にさせるには、女性のパーソナルゾーンに踏み込み、密接距離を取れと教えるものがあります。それで誘惑されてしまう女性もいるのかもしれませんが、通俗的な恋愛テクニックでこういうことをされると、「何、この男」と腹が立つ女性もいるはずです。パーソナルゾーンを踏み越えるとは大きな危険を冒すことにもなりうるのです。

ビジュアルや視線がコミュニケーションのもっとも重要な役割をはたす


一般的に、パーソナルゾーンを踏み越えることは、特別な関係を意味するか、あるいは相手に対する攻撃を意味します。ひとは親密な関係の恋人に対してだけではなく、けんか相手に対してもからだが直接触れ合うはどの距離間で近づくものです。

社会距離(ソーシャルゾーン)になると、個人的な関係をもたない顧客と販売員、得意先とビジネスマンなどの関係にはじまり、格式ばったパーティやセミナーの参加者の間にみられる関係にまで広がっていきます。気楽なパーティなどでも、まだお互いには知らない間柄であれば、このような距離を保っていることでしょう。

その場合、相手との唯一の接点は、ビジュアルなものしかありません。これは視線がコミュニケーションのもっとも重要な役割をはたす距離なのです。

初対面の相手との間では、視線によるつながりが必要になってくる

そこで、初対面の相手と親しくなっていく場合には、この距離でのコミュニケーションをうまくとらなくてはなりません。見た目が魅力的であることが、相手の関心を惹きつけるのはこの距離です。もう一つ、この距離で恋の始まりにつながるのは視線です。目と目が合うことから、二人は近づいていくことになります。

男女の関係が深まる距離 密接距離の取り方で気が多い人がわかる?

男女の関係は、社会距離から個体距離へ、そして密接距離へと進展していくものです。まずは第一印象で相手の興味を惹きつけ、アイコンタクトでこちらも関心を持っていることを知らせる。アイコンタクトがあれば、互いにそれとなく近づくことができます。そして、個体距離までもってこれれば、そこで会話が始まります。

ふたりが最初に個体距離を踏み越えるときには、それなりに勇気が必要になります。密接距離へは暗黙の了解があるときか、相手の許しがなければ踏み込めません。

気軽に親密距離まで近づきやすい男女の性格と傾向

このとき、わりあい気安く自分の肩や腕に触れてくるような異性がいたら、気を付けたほうがいいかもしれません。その人は誰にでもそうしている可能性があります。性格的に、または習慣的に、まだそれほど親しくなっていない異性に対して親密距離をとりやすいタイプの男女もいます。そういう男女の中には、恋愛関係にわりあいルーズな人、気が多く人を好きになりやすい、複数の人と付き合える、あるいは愛情に飢えている、人一倍、愛情を求める寂しがり屋、といった可能性があります。

ところで、四つ目の公衆距離ですが、これはわたしたちが縄張り意識をもって束縛しあう最大の距離で、たとえば教壇から講義をする教師と生徒のあいだの距離から、広くは街頭演説をする政治家と群衆の距離までをいいます。

コロナ時代には二人の間の距離を縮めるために視線がより重要になってくる

コロナ時代になると、個体距離から親密距離に近づくことがむずかしくなってきました。まだ親しくなっていない相手に対しては、不用意に距離を縮めるような近づき方は、マイナス効果でしかない場合が多くなってくるでしょう。そこで視線、目と目が合う、ということが、これまでにもまして重要なポイントになってきています。マスクの下に顔が半分かくれてしまうなら、それゆえに油断せず表情筋を鍛え、目の周りの眼輪筋も鍛え、マスクの下にポジティブな表情を浮かべて、生き生きしたまなざしを相手に向ける必要があります。


 

テーマ  恋愛心理
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