恋の心理学/恋の診断/恋の真理

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愛はモフモフから


母と子の身体接触から
愛を育む能力をつちかう

 男女の愛はその起源までさかのぼると、生まれて間もない赤ん坊と母親との身体接触に行きつきます。快い接触は基本的な情緒と性愛の発達に重要な影響をおよぼすのです。

 アメリカのハリー・ハーロウ叫博士が行った有名な子ザルの実験があります。実験では子ザルの代わりに針奎でっくった人形とそれにやわらかい布をまきつけた人形のふたつをあてがいました。どちらの人形にも哺乳びんがとりつけてあって、そこからいつでもミルクが飲めるようにしてあり、二種類の人形の違いは、接触の感じだけでした。

 子ザルは布製の人形の方を好み、これに身をすり寄せたり抱きついたりして長い時問を過ごしたということです。布人形のやわらかい感触は子ザルに安心感をあたえるらしいのです。 自然の状態で、ほんとうの母親に育てられたサルは、怖いときにはげ親にしがみつき、不安を解消しようとします。布人形は明らかにそのような役割を果たしたわけです。

一方、針金人形をあてがわれた子ザルは、脅かしたり怖がらせたりすると、この人工の母もとには行かず、部屋の隅にうずくまってしまったということです。また、哺礼びんをとりつけた針金人形と、哺乳びんのない布製の人形を比較すると、子ザルはミルクを飲むときには針金人形のところに行くが、それ以外の大部分は布製の人形にしがみついて過ごしたということです。


愛には触れ合いが必要
 しかし、布製の人形もやはり本当の母親に比較すると決定的に劣っています。布人形をあてがわれて育った子ザルは、成長してから群れの一員としての社会的な行動がとれず、性的触れ合いをうまく処理できないことがわかったのです。布製の人形では子ザルの相手をすることができないからです。本当の母親は子ザルが何か悪いことをしたときには罰し、少し成長すると自分のところにすり寄ってきても突き放すような行動をとります。

 本当の母親はいなかったけれど、成長の過程で他の子ザルと接し、しばしば遊び仲間に入ることができた子ザルは、ほかの子ザルとまったく接触がなかった子ザルよりもずっとうまく適応できたということです。
 
 このことは子供の成長にとって、もちろん母親と遊び仲間がそろっていたほうがよいが、成長の過程では母親と過ごすことより、他の同年代の子供と遊ぶことのほうが、社会的な適応にずっと役立つということを示しています。(マザコン男はやっぱり、ダメかも)

愛の根底には本能的な安心感がある
 母親がいなくても、子ザル仲間と遊ぶことのできたサルは、大人になってから正常な性行動を行うことができたけれど、仲間からも隔離されて育ったサルでは性的に成熟しても、交尾行動がうまくできなかったそうです。メスザルの場合ははたとえ人間の手で交尾させ、子供を産ませることに成功しても、赤ん坊の世話ができなかったばかりか、自分の赤ん坊を避け、ときには攻撃的な行動に出たということです。

 ハーロウ博士のサルの実験から得られた結果は、人間においても当てはまると考えられます。母と子のスキンシップは大人になってからの性愛の基礎となり、子供同士の接触は後にパートナーとなるべき相手とのコミュニケーションを促し愛を育む土台となっているのです。

 大人になってから、恐怖を感じたときや気が動転したとき、悲しみにうちひしがれたときなどに他人との身体接触を求めようとするのも、基本的には母と子のスキンシップに起源を発しているものです。

愛しあう男女が性的な触れ合いを求めるのは、たんにそこから快感を得ることだけが目的ではなく、他の人の腕のなかで本能的に感じる心地よさと安心感が絆を深めることになるからです。
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